子ども・子育て支援新制度への開始によって、私立幼稚園の一部は、所得に応じた保育料に変わりました。新制度では、私立幼稚園でも市区町村が保育料を定め、園児は市区町村の認定を受けてから入園します。
しかしながら、新制度へ移行しない私立幼稚園も相当数あります。従来からある保育料が一定の私立幼稚園(以下、単に私立幼稚園)は、独自の幼児教育方針に基づいて保育料を定めており、一般的には公立幼稚園よりもはるかに高額でしょう。
保護者の所得で幼児教育に差が付くのは不適切であることから、自治体は私立幼稚園または保護者に対して、格差是正のための経済的支援を行っています。
支援制度の仕組み
私立幼稚園への支援は、大きく分けて「就園奨励費補助金」と、その他の支援制度(園児補助金や保護者負担軽減補助金など名目は異なる)の2通りあります。就園奨励費補助金はどの自治体でも行われていますが、その他の支援制度は自治体しだいです。
【私立幼稚園費用への支援制度】
- 就園奨励費補助金:国の方針で実施され1/3以内の国庫補助がある
- その他の支援制度:都道府県や市町村が独自に実施している
国庫補助のある就園奨励費補助金は、ほとんどの自治体で補助限度額が変わりません。一部の自治体で増額したり、負担に耐えかねて減額したりしていますが、ほとんどは所得や子供の数によって、62,200円~308,000円を限度とした補助を受けられます。
また、複数の同時入園や、兄姉が小学校3年生以内かどうかなどでも補助限度額は変わります。幼稚園を経由して申請させる自治体が多い(補助金も幼稚園に交付して保育料を減免させる自治体が多い)ため、詳しくは幼稚園に聞いてみるのが確実です。
一方、自治体独自の制度については、支援金額が自治体で異なり、そもそも支援制度がない自治体もあるので、まずは制度の有無が重要になるでしょう。私立幼稚園が多い都市部ほど、支援制度が用意されている傾向です。
この支援制度を設けている主な自治体
私立幼稚園がある自治体なら、就園奨励費補助金もあるはずですし、自治体で大きく差がない制度なので取り上げません。ここでは独自制度で保護者支援をしている自治体に絞り込んでいます。
なお、少しでも支援金額の大きい自治体を選ぶようにしていますが、ランキングではない点に注意してください。ちなみに東京都では、都と市区町村が費用分担して支援制度を設けています。
東京都あきる野市(あきるのし)
就園奨励費補助金と同様に、所得に応じて保育料が補助されます。東京都の市区町村では、概ね月額10,000円前後を上限とした、このタイプの支援がスタンダードで、あきる野市以外にも都内の多くで見られます(入園料補助が加わる場合もあります)。
支援の主な条件 | ・満3歳児~5歳児 ・市内に住所がある保護者 |
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支援内容 | 所得に応じて園児1人あたり月額3,400円~9,600円 |
公式HP | 幼稚園等について |
東京都練馬区(ねりまく)
同じ東京都でも、練馬区の場合には所得制限を設けずに補助金を交付しています。他の補助金を控除した額が補助対象となるため、就園奨励費補助金が少ない高所得層か、保育料が高額の場合にメリットが大きくなります。
支援の主な条件 | ・3歳児~5歳児 ・幼児と同一の世帯に属する保護者 |
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支援内容 | ・入園料を上限40,000円で補助 ・園児1人あたり保育料月額-8,000円(上限11,200円) ※入園料補助金と就園奨励費補助金で不足する部分が対象 |
公式HP | 私立幼稚園補助金 |
京都府長岡京市(ながおかきょうし)
月額3,500円相当の補助は、東京都に比べてかなり低い水準に思えますが、私立幼稚園の保育料水準も異なることを踏まえれば仕方がないでしょう。独自の支援制度で、満3歳児~5歳児をすべて網羅している点は評価できます。
支援の主な条件 | ・満3歳児~5歳児 ・10月1日に在園している園児の保護者 ・園児と保護者が市内で住所を共にしている |
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支援内容 | 園児1人あたり年額42,000円(月額3,500円相当) |
公式HP | 私立幼稚園保護者助成金 |
茨城県土浦市(つちうらし)
金額がそれほど大きくない上に所得制限もあって、概ね年収700万円を超える世帯は助成対象外です。市内の私立幼稚園へ通園できない事情が認められれば、隣接市町への通園でも助成対象になる要件緩和があります。
支援の主な条件 | ・3歳児~5歳児 ・保護者と園児とも市内に住所がある ・世帯の住民税所得割が253,000円以下 |
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支援内容 | 園児1人あたり月額3,000円 |
公式HP | 私立幼稚園等の保護者助成金 |
千葉県市原市(いちはらし)
他の自治体と同じように園児1人あたりの定額交付ですが、就園奨励費補助金で保育料の大部分がカバーされていると交付額が減ります。つまり、保育料を超えて補助金を受け取ることはできない仕組みになっています。
支援の主な条件 | ・満3歳児~5歳児 ・園児を現に監護している保護者 |
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支援内容 | ・園児1人あたり月額2,500円 ※就園奨励費補助金を加えた額が保育料を超える場合は保育料相当額までが上限 |
公式HP | 私立幼稚園利用の補助金について |