人間誰でも健康には気を使いますが、恐らくそれはある程度の年齢になってからです。健康リスクの低い若い世代では、自分の身体に将来起こるかもしれない異変を軽視しがちで、注意し始めるのは人生の後半に入る壮年期以降でしょう。
どのような病気でも早期発見が大切なことから、定期的な健診・検診を心掛けるべきなのは皆が知っています。ところが、日本の医療保険制度では、治療を保険対象としても、診査を保険対象としていません。
わかりやすく説明すると、身体に異常があってから病院に行けば、治療や処方にかかる費用を保険がカバーしてくれますが、身体の異常を見つけるための予防的な診査には、保険が適用されないということです。
自治体は、公費(または一部負担金)で健診・検診を受けさせて、住民の健康維持・意識向上に努めており、より総合的な診査である人間ドックについても助成措置を講じています。
支援制度の仕組み
給与所得者であれば、勤務先が費用を負担してくれる場合もありますが、人間ドックの費用は高いので、自治体が全額助成するのは難しいです。したがって、人間ドックの助成は一部費用を住民に負担させる制度が圧倒的です。
【人間ドックの助成パターン】
- 公費で全額助成(無料化)
- 自己負担額を定めて残りを公費で助成
- 費用の一定率を助成(助成額の上限あり)
- 費用の一定額を助成
また、人間ドックを受診する前に自治体へ連絡することで、助成金額が控除される受診券(受診票・助成承認票など名称は自治体で異なります)の交付をする自治体と、一旦は全額自己負担して、後から助成額を振り込む自治体があります。
後から振り込む方法の自治体でも、日時や医療機関を事前連絡しなければならないケースがあるので、人間ドックを受けると決めたら、最初に自治体へ連絡しておきましょう。助成を受けられるのは年度内に1回です。
この支援制度を設けている主な自治体
ポイントは「自己負担額」と「対象年齢」です。自己負担額の少なさは大切ですが、対象年齢が低いと、将来子供が大きくなったときでも、早い段階から人間ドックを受けられるメリットがあります。
- 40歳未満でも助成対象になる
- 自己負担額が少ない
以下で紹介する自治体は、上記のいずれかを満たすことを条件としました。
北海道古宇郡神恵内村(かもえないむら)
日帰りの人間ドックに限られますが、40歳以上の人間ドックを無料化しています。神恵内村は、他にも健康診査(特定健康診査)やがん検診ならびに各種検診(MRI検診、骨粗しょう症検診など)も無料化しており、保健事業に手厚いです。
支援の主な条件 | ・40歳以上 ・日帰りの人間ドック |
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支援内容 | 全額助成(無料化) |
公式HP | 短期人間ドック検診事業 |
京都府与謝郡伊根町(いねちょう)
外来での人間ドックに限られるとはいえ、自己負担額が非常に低く、5年ごとの節目の年齢(30歳、35歳、40歳…)には無料で受けられます。ただし、国保加入から1年以上経過の条件があるので、移住してすぐには利用できません。
支援の主な条件 | ・30歳以上 ・国民健康保険被保険者になってから1年以上 ・過去6ヶ月以内に入院していない ・外来(半日)の人間ドック |
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支援内容 | ・外来形式:自己負担額3,000円 ・脳ドック:自己負担額3,000円 ・肺がんドック:自己負担額3,000円 ・PET検査:自己負担額40,000円 ※30歳から65歳までは5年ごとに全額助成(PET検査は自己負担額20,000円) |
公式HP | 保健事業のご案内 |
長野県木曽郡大桑村(おおくわむら)
助成率が9割と高いほか、大桑村の助成で特徴的なのは、35歳~39歳を対象に国保以外の人も助成を受けられる点です。勤務先で人間ドックが受けられなくても、この制度を使うと少ない費用負担で受けられます。
支援の主な条件 | ・35歳以上 ・人間ドックに特定健康診査の項目を含むこと ※35歳から39歳までは国民健康保険未加入者も対象 |
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支援内容 | 費用の9/10を助成(上限45,000円) |
公式HP | 大桑村人間ドック助成事業 |
大阪府阪南市(はんなんし)
最も評価できるのは、対象年齢を20歳以上としていることで、30歳以上の自治体は多くても、20歳以上の自治体は少ないです。さらに、助成率の8割も高い水準ですし、人間ドックとは別に脳ドックも助成対象に含まれています。
支援の主な条件 | ・20歳以上 ・申請時および受診時に入院していない ・結果を提出することの承諾 |
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支援内容 | 費用の8/10を助成 ・人間ドック:上限33,000円 ・脳ドック:上限24,000円 ・人間ドック+脳ドック:上限57,000円 |
公式HP | 人間ドック等助成制度 |
石川県鳳珠郡能登町(のとちょう)
他の自治体と比べて平凡に思えるかもしれませんが、1つ言えるのは、30歳以上からの助成や助成上限の50,000円が、どこでもできる助成ではないということです。あえて言うなら、助成率の7割をもう少し高くして欲しいところでしょうか。
支援の主な条件 | ・30歳以上 ・40歳以上は結果を提供することの承諾 |
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支援内容 | 費用の7/10を助成(上限50,000円) |
公式HP | 人間ドック検査料の助成について |