子育てをしていく上で、大きなお金を必要とするタイミングは入学時でしょう。もちろん、全体では衣食住のお金が大きいとしても、日常生活の中で当然に消費されていく部分なのでそれほど気にしないはずです。
しかし、入学時の費用は新たに買い揃える学用品が多く、特に第1子の場合、上の子のお下がりというわけにもいかないので、どうしても出費が増えます。祖父母などからお祝いの金品を貰うことも多いかと思いますが、自治体でも祝金を支給しています。
支援制度の仕組み
入学祝金は、4月1日や入学日等を基準日として後から受け取る祝金で、入学前資金として活用することはできません。入学前資金として活用したい場合は、「入学準備金」や「入学支度金」などの名称になっているはずなので探してみましょう。
自治体が入学祝金を支給しているのは、子供の成長を祝うというよりも、自治体内で子育てを行い、次世代の人口維持に貢献しているからだと考えられます。したがって、定住を条件にしている自治体が多く、移住して入学しただけで貰えるとは限りません。
【入学祝金の支給要件に多い項目】
- 入学前に一定期間の住民登録継続
- 出生から入学まで住民登録継続
- ひとり親世帯、多子世帯、交通遺児等に限定
- 第3子以降に限定
ひとり親世帯や交通遺児に限定して、手厚く支給するのは異論がないとしても、第3子以降に限定されることには違和感を覚える人もいるでしょうか。第1子でも第3子以降でも、入学を祝うべき1人の子供であることに変わりはないからです。
この点は、第3子以降しか直接の人口増加に繋がらないことが大きいです。親2人に対して、子供1人なら人口減少、子供2人で人口維持、子供3人から人口増加となる計算ですから、出産祝金や入学祝金は、第3子以降を条件としている自治体が多いのです。
ただし、第3子以降に限定している自治体でも、限定しない自治体で第3子までに支給される合計金額より手厚いケースが見られるため、第3子以降だからといって軽視するのは早計でしょう。
この支援制度を設けている主な自治体
入学祝金は、自治体の予算によって数千円もあれば、定住促進に力を入れている自治体では数十万円になることもあります。せっかく貰えるお金なので、高いに越したことはありませんが、他の子育て支援と組み合わせて総合的に捉えるべきです。
- ひとり親世帯など世帯に条件が付かない
- 第1子から支給される場合は3万円以上
- 第3子以降から支給される場合は10万円以上
- 小学校から高校までに2回以上支給される
紹介しているのは、このような条件で選んだ自治体です。1つの目安として、支給額が3万円以上ならまずまずと言える水準でしょう。入学祝金を掲載している公式HPには、他の支援制度が掲載されていることも多いので確認してみてください。
愛媛県越智郡上島町(かみじまちょう)
第3子以降、10年以上の定住と条件は少し厳しいですが支給額は破格です。ただでさえ高額なのに、特定地区で2倍になる特例まであります。上島町は他にも定住支援制度が多く、本気で定住を考えている人は相当助かるでしょう。
支援の主な条件 | ・10年以上の居住を目的としている ・住民基本台帳に記録され生活の本拠が町にある ・第3子以降 |
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支援内容 | ・小学校入学:30万円 ・中学校入学:40万円 ・高校等入学:50万円 ※魚島・高井神地区の場合には2倍 ※5年以内で転出すると全額返還 ※5年を超え10年以内で転出すると半額返還 |
公式HP | 上島町定住促進 |
岐阜県飛騨市(ひだし)
「飛騨市3STEPプロジェクト」と名付けられている制度で、保育園から祝金があります(通常はあっても入園料の実費補助)。保育園・小学校・中学校と3回の支給を受けられ、それぞれの金額も10万円と高額ですが商品券なのは残念です。
支援の主な条件 | 4月1日時点で1年以上住所(住民基本台帳への記録)がある ※年度途中の転入でも1年経過後に翌年度の対象者となる |
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支援内容 | ・保育園入園(広域入所含む):10万円 ・小学校入学:10万円 ・中学校入学:10万円 ※商品券での支給 |
公式HP | 暮らしの補助制度等 |
山梨県北都留郡小菅村(こすげむら)
若者を対象にしている支援制度とはいえ、子育て世代なら45歳以下の要件には該当しやすいのでそれほどハードルは高くありません。他に、結婚祝金(10万円)、出産祝金(3万円~10万円)などもあるため、トータルでは多くの金額を貰えます。
支援の主な条件 | ・4月1日時点で15歳以上45歳以下 ・永住前提で村内に住所があるか生活の本拠がある |
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支援内容 | ・小学校入学:5万円 ・中学校入学:10万円 |
公式HP | 小菅村若者定住促進の奨励制度 |
群馬県甘楽郡下仁田町(しもにたまち)
金額は多いとは言えない水準ながらも、事前に一定期間の住民登録を必要とする規定がない点は、他の自治体よりも要件が緩和されています。出産祝金が手厚い(5万円~20万円)ので、出産前から移住しておきたい自治体です。
支援の主な条件 | 入学する月において住所がある |
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支援内容 | ・小学校入学:5万円(うち2万円は商品券) ・中学校入学:5万円(うち2万円は商品券) |
公式HP | 定住を支援します! |
新潟県三島郡出雲崎町(いずもざきまち)
これまで紹介してきた中で一番金額は低いですが、他の自治体が高額なだけで、決して低い水準ではありません。出雲崎町には子育て支援金(4歳~6歳で年3万円)もあるので、入学祝金の少なさをカバーできています。
支援の主な条件 | 4月1日時点で住所がある |
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支援内容 | ・小学校入学:3万円 ・中学校入学:5万円 |
公式HP | 入学祝金支給事業 |