妊婦健診費用の支援

妊娠から出産までの間には、何度も産婦人科に通って定期健診(妊婦健診)を受けるのが通常です。義務ではないですが、胎児の健やかな成長と母体への危険を考慮すれば、ほとんどの妊婦が健診を受けるでしょう。

ところが、妊婦健診は疾病による医療処置ではないことから、原則として健康保険の対象外です。医療機関によって検査費用は異なりますが、概ねトータルして出産までに10万円程度はかかります。

そうなると心配なのは、妊婦健診の費用負担から、健診を受けずに出産する人が増える点ではないでしょうか。自治体では健診費用を公費負担することで、妊婦健診が負担にならないように支援しています。

支援制度の仕組み

妊婦健診の支援は、自治体に妊娠を届け出て母子健康手帳の交付を受けるときに、受診券(受診票)か補助券を一緒に交付してもらう流れが一般的です。受診券方式と補助券方式の違いを簡単に説明すると次のとおりです。

  • 受診券方式:決められた検査項目を無料で受診
  • 補助券方式:決められた金額まで無料だが検査項目は医療機関の判断

受診券に記載のない検査項目は自己負担、補助券の限度額を超えた検査費用は自己負担です。妊婦健診では、母子健康手帳と受診券または補助券を提出することで、無料または限度額まで助成されます。

なお、平成27年4月1日現在、8割以上の自治体で受診券方式を採用しており、指定医療機関では無料健診になる受診券方式のほうが優れているように思えますが、検査項目が少ない場合もあるので、必ずしも受診券方式が優位とは限りません。

また、厚生労働省は標準的な妊婦健診の回数を14回とし、公費負担も14回程度行うように告示を出していることから、どの自治体でも14回までは助成しています。

この支援制度を設けている主な自治体

妊婦健診への支援は全自治体で行われており、その内容は自治体によって異なります。支援内容に差が付くとすれば次のような内容です。

  • 助成を受けられる回数
  • 助成限度額
  • 助成対象の検査項目
  • 遅い出産や多胎妊娠への対応

紹介する自治体は上記を考慮して選んでいますが、どうしても限度額を意識してしまうかもしれませんね。受診券方式の自治体で限度額が関係してくるのは、指定外の医療機関で受診した場合だけで、無料健診になる指定医療機関では無意味です。

それよりも、助成される検査項目のほうが大切ですから、検査が不足なく網羅されているかチェックしましょう。逆に補助券方式の自治体では限度額を意識しないと、しておきたい検査が限度額不足で自己負担になりがちです。

特に、必要に応じて行われる医学的検査については、厚生労働省が望ましい基準を示しているだけで、受診券方式の自治体でも対応しているとは限らず、補助券方式の自治体では考慮された限度額になっているか不確かです。

【必要に応じて行う医学的検査】

  • 血液型検査(ABO血液型、Rh血液型)
  • 不規則抗体検査
  • B型肝炎抗原検査
  • C型肝炎抗体検査
  • HIV抗体検査
  • 梅毒血清反応検査
  • 風疹ウイルス抗体検査
  • 血糖検査
  • 血算検査
  • HTLV-1抗体検査
  • 子宮頸がん検診(細胞診)
  • 超音波検査
  • 性器クラミジア検査
  • B群溶血性レンサ球菌(GBS)検査

比較的カバー率が低いのは、子宮頸がん検診と超音波検査(推奨は4回)です。受診券方式の自治体は、この2つの検査に注目してみてください。

宮城県名取市(なとりし)

宮城県名取市
助成限度額が111,210円と全国平均の公費負担額(10万円弱)よりも高いだけではなく、多胎妊娠で合計21回もの健診をサポートしています。参考までに、宮城県の自治体は多胎妊娠の妊婦健診で多くの助成回数を追加していることが多いです。

支援の主な条件 市に住所があること
支援方式 受診券方式
限度額 ・14回で111,200円
・多胎妊娠は6,000円×7回追加
医学的検査 子宮頸がん検診 超音波検査 4回
公式HP 妊婦一般健康診査助成

茨城県つくばみらい市(つくばみらいし)

茨城県つくばみらい市
助成回数が無条件に16回と多いので、不安があったときに健診を追加できる点が魅力です。医師が必要と認める場合は、17回以降も健診を受けられますが、受診券ではなく償還払い(一旦は自己負担で後から請求)になります。

支援の主な条件 市に住所があること
支援方式 受診券方式
限度額 ・16回で107,950円
・医師が特に必要と認めれば17回以降も可能(償還払い)
医学的検査 子宮頸がん検診 超音波検査 4回
公式HP 妊婦健康診査

大阪府大東市(だいとうし)

大阪府大東市
限度額が全国平均を上回る12万円と、この点だけでも評価できる他、大阪府内なら市外の委託医療機関で使える利便性も評価できます。限度額の高い受診券が複数枚用意されているので、超音波検査を4回以上受けることは十分に可能でしょう。

支援の主な条件 市の住民基本台帳に記録されていること
支援方式 受診券方式
限度額 14回で120,000円
医学的検査 子宮頸がん検診 超音波検査 規定なし
公式HP 妊婦健康診査事業

青森県三戸郡階上町(はしかみちょう)

青森県三戸郡階上町
非常に手厚い助成になっており、医学的検査が個別の受診券になっているため、検査時期の自由度が高いです。ちなみに、都道府県単位で比較してみると、青森県の平均公費負担額は全国でもトップクラスです。

支援の主な条件 町の住民基本台帳に記録されていること
支援方式 受診券方式
限度額 ・14回で118,920円
・多胎妊娠は5,040円×7回追加
医学的検査 子宮頸がん検診 超音波検査 4回
公式HP 妊婦健診

兵庫県養父市(やぶし)

兵庫県養父市
補助券方式なので、健診費用や検査内容は医療機関しだいですが、限度額が13万円と手厚いため不足なく受診できるでしょう。また、14回を超える健診も認められていることで、限度額以内なら遅い出産・多胎妊娠のいずれにも対応可能です。

支援の主な条件 市に住所があること
支援方式 補助券方式
限度額 ・14回で130,000円
・医師の判断で14回を超えても限度額の範囲内で健診可能
医学的検査 子宮頸がん検診 超音波検査
公式HP 妊婦健康診査費補助制度のご案内
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