移住先で住宅を見つけても、実際に移住するためには出費が伴います。引越し費用は遠いほど高くなり、家族構成によっては20万円でも足りないケースが出てくるでしょう。
また、様々な契約に伴う手数料もそうですし、現在の生活環境をそのまま移すことはできないので、ある程度は現地調達しなくてはなりません。小さな出費も積み重なると大きな出費なので、少しでも広範囲を支援してくれる自治体を選びたいところです。
支援制度の仕組み
移住費用と一括りでは広範囲になり過ぎてしまうことから、各自治体は支援対象の移住費用を限定しています。比較的多くの自治体が対象にしているのは、住宅の購入・賃借で発生する仲介手数料や引越し費用です。
【支援の可能性がある移住費用の例】
- 仲介手数料
- 引越し費用
- 移住住宅での家財処分費
- 移住先で購入する物品費
- 敷金や礼金
これら移住費用の支援は、自治体の運用によって、費用の発生前に申請が必要な事前申請タイプと、後から領収書等を添付して申請する事後申請タイプに分かれます。事前申請タイプでは、申請していない費用が一切支援されないので要注意です。
なお、移住費用を支援しなくても、住宅の取得費用や家賃などを手厚く支援することでカバーしている自治体もあれば、取得費用と移住費用を個別に支援している自治体もあります。
どちらが優れているということではなく、トータルで受けられる支援金額の大きさが重要なのと、細かく名目(事業)を分けて支援している自治体では、それだけ手続きが多くなるデメリットもあることを踏まえておきましょう。
この支援制度を設けている主な自治体
何らかの移住費用を支援している自治体は多いので、広範囲または支援金額の高い自治体を取り上げてみました。広範囲で支援金額が高ければ申し分ないのですが、必ずしもそうとは限りません。
ですから、支援対象が限定されていても、ピンポイントで大きな金額を支援している自治体のほうがお得な場合もあり、「このような支援もある」と参考程度にしてください。
岩手県花巻市(はなまきし)
ここまで支援対象が広いのは、全国的にも珍しいと言えるほどの充実ぶりです。1つの補助金で、移住住宅の経費から引越し費用、新生活の物品をサポートして、損害保険料や固定資産税まで含まれるのですから、大抵の移住費用はカバーできるでしょう。
支援の主な条件 | ・戸建て住宅(併用住宅可)の取得 ・戸建て住宅の貸借(空き家バンク登録物件のみ) ・空き家バンク登録物件以外の取得は中学生以下(母子手帳が交付された胎児含む)の子供がいること |
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支援対象の経費 | ・住宅の取得・賃借手続きの経費、資金の借り入れ手数料 ・転校などにより学校で必要となる物品の購入費 ・引越しにかかる経費 ・引越し後の住宅で生活するために必要となる物品の購入費 ・火災保険料、地震保険料 ・固定資産税相当額(1年分) ・取得や賃借契約した住宅のリフォーム代 ・犬の登録手数料 |
支援内容 | 経費合計の1/2(取得は上限200万円、賃借は上限100万円) |
公式HP | 移住された方の住宅取得を応援します |
静岡県藤枝市(ふじえだし)
引越し費用と仲介手数料だけの助成ですが、上限が50万円と大きく、遠隔地からの引越しでも十分に対応できます。少し残念なのは、戸建て住宅に限られること、子育て世帯に限定されていることでしょうか。
支援の主な条件 | ・中学生以下の子供がいる世帯 ・戸建て住宅のみ |
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支援対象の経費 | ・引越し費用 ・仲介手数料 |
支援内容 | 経費合計の1/2(上限50万円) |
公式HP | 空き家への引っ越し料などを助成します |
大分県津久見市(つくみし)
仲介手数料と家財処分費用の補助率が10/10で、上限額以内なら全額補助されます。他にも臼杵市、豊後大野市、九重町など、大分県には同様の制度を設けている自治体が多いので、他の自治体も調べてみましょう。
支援の主な条件 | 市外(1年以上居住)からの転入で一時的な転入ではないこと |
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支援対象の経費 | ・仲介手数料 ・家財処分費用(空き家バンク登録物件のみ) ・引越し費用 |
支援内容 | 仲介手数料:上限5万円、家財処分費用:上限10万円、引越し費用の2/3:上限20万円 |
公式HP | 移住者居住支援事業補助金 |
富山県魚津市(うおづし)
仲介手数料だけではなく、敷金・礼金等も支援対象に入っています。また、上限1万円で3年間の家賃補助もあるので、賃貸住宅での移住なら同時に受けることでかなり助かるでしょう。ただし、移住費用補助と家賃補助の手続きは別です。
支援の主な条件 | ・40歳未満 ・転入から1年以内に就業・開業 |
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支援対象の経費 | 敷金、礼金、仲介手数料等の移住費用のうち自己負担分 |
支援内容 | 経費合計の1/3(上限8万円、市内企業勤務は上限12万円) |
公式HP | 魚津市若年移住者賃貸住宅助成制度 |
香川県小豆郡土庄町(とのしょうちょう)
魚津市と似たような制度ですが、家賃補助が手厚い(上限2万円で2年間)のと、就業・開業の条件が付かず、1つの手続きで申請できる点が異なります。その代わり、仲介手数料等の支援金額は少し不足するかもしれません。
支援の主な条件 | ・40歳未満または18歳以下(年度末時点)を扶養している ・民間賃貸住宅 |
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支援対象の経費 | 礼金・仲介手数料・家賃支払保証料から住宅手当を除いた額 |
支援内容 | 経費合計の1/2(上限6万円) |
公式HP | 土庄町移住定住促進賃貸住宅家賃等補助金 |