都道府県 | 市区町村 | 人口 | 一般行政職員数 | 人口1,000人あたり |
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福岡県 | 春日市 | 113,040 | 299 | 2.6 |
福岡県 | 宗像市 | 97,317 | 302 | 3.1 |
福岡県 | 糟屋郡粕屋町 | 47,076 | 148 | 3.1 |
福岡県 | 糸島市 | 100,750 | 319 | 3.2 |
福岡県 | 糟屋郡新宮町 | 32,564 | 104 | 3.2 |
茨城県 | 牛久市 | 85,255 | 273 | 3.2 |
兵庫県 | 加古郡播磨町 | 34,615 | 111 | 3.2 |
群馬県 | 太田市 | 224,574 | 721 | 3.2 |
大阪府 | 河内長野市 | 107,280 | 352 | 3.3 |
福岡県 | 糟屋郡志免町 | 45,807 | 153 | 3.3 |
沖縄県 | 島尻郡南風原町 | 38,580 | 129 | 3.3 |
兵庫県 | 加古郡稲美町 | 31,302 | 105 | 3.4 |
岐阜県 | 各務原市 | 148,081 | 500 | 3.4 |
岐阜県 | 羽島市 | 68,219 | 231 | 3.4 |
福岡県 | 筑紫野市 | 103,731 | 360 | 3.5 |
※人口は平成30年1月1日住基人口
※一般行政職員数は平成30年総務省
市区町村の行政を担う公務員は、数が多いほど人件費がかさんでいきます。しかしながら、あまりにも公務員数を削減してしまうと、人手が足りず住民サービスに支障をきたすおそれもあり、少なければ良いものではありません。
公務員には、市区役所・町村役場で勤務している一般行政部門の他にも、教育・消防・警察部門、公営企業部門(上下水道・病院・交通など)も含まれるのですが、一般行政部門以外は配置基準が決められており、自治体の裁量による定数管理が難しいです。
そこで、一般行政職員数(福祉関係を含む)を使って、人口あたりの公務員数をランキング化してみました。人口あたりの公務員数が少ないほど、無駄な人員を確保せず効率的に(住民へ還元しやすい)行政をしている指標にはなるでしょう。
福岡県春日市(かすがし)
福岡市のベッドタウンとして発展した春日市は、僅か14.15㎢の面積に11万人以上(平成30年)の人が住む人口密度の高い市です。この水準は、概ね政令指定都市の区部に匹敵する人口密度で、福岡市へのアクセスの良さが人を集めています。
春日市は、昭和63年から進めてきた行政改革(平成28年現在第5次)が実を結び、事業の見直しや民間委託を活用することで、公務員数を減らしています。
ちなみに、人口11万規模の市では、1,000人あたり4~5人台が多く、春日市の少なさは驚異的な数字です。人口1,000人で公務員数が2人違うと、11万人では220人もの公務員が削減できている計算ですから、いかに効率が良いかわかるのではないでしょうか。
なお、春日市は一般行政部門以外の公務員(公営企業等)を含めた公務員数でも、異例の少なさです。行政区域の狭さがコンパクトな行政を可能にしているとしても、十分に評価できる水準でしょう。
福岡県宗像市(むなかたし)
福岡市と北九州市の中間、やや北九州市寄りの宗像市は、国道3号線・495号線、そしてJR鹿児島本線が市内を横断していることで、福岡市と北九州市を結ぶ要所として両政令市のベッドタウンになっています。
宗像市では、職員数適正化計画によって、平成22年~平成26年に目標を上回る職員定数を削減しました。市では、再任用職員(定年退職後の再雇用)や任期付職員(いわゆる期間雇用)の実施で今後も職員定数を適正化するとしています。
人口動態を見てみると、進学・就職の世代で転出人口が多くなっているのに対し、30代・40代の子育て世代と、その子供が転入してくることで人口を維持しており、住みやすい街として認知されている傾向が伺えます。
また、60歳~64歳のリタイヤ世代においても転入超過が見られ、出身者の故郷回帰もしくは老後の定住先として選ばれやすい市のようです。
福岡県糟屋郡粕屋町(かすやまち)
町にしては多い4万7千人(平成30年)もの人口を持つ粕屋町。福岡市に隣接し、他の福岡市周辺の市町と福岡都市圏を形成する粕屋町は、特に人口増加が目立つ自治体です。
平成42年までの推計においても、人口を増やし続ける数少ない自治体と予測されているばかりか、町の計画では、推計をさらに上回るペースで人口増加を見込んでいます。それだけの受け皿を用意する計画が、粕屋町にはあるということですね。
注目すべきは、15歳未満の年少人口、15歳~64歳の生産年齢人口、65歳以上の高齢者人口のいずれも人口増加を見込んでいることです。他の自治体は徐々に少子高齢化していく予測なのに対し、全世代が増加すれば自治体として弱体化しません。
行政のスリム化が、今の段階でも全国トップクラスであることは、やがて5万人を超えて市になったとしても、変わらず効率的な行政を期待できるでしょう。
福岡県糟屋郡新宮町(しんぐうまち)
JR新宮中央駅ができた平成22年以降、新宮町は常に人が増え続けてきた町です。転入転出人口比率(転入÷転出)も高い水準で、今後も増加傾向が予想されます。
隣接する福岡市への通勤者が、住環境を求めて新宮町に集まり、子育て世代と子供が多く住む地域なのですが、平均年齢の若さからなのか、福祉行政の効率が良いのか、新宮町は福祉関係の職員比率が低い特徴を持ちます。
平成17年に策定された町の目標では、職員数167人(公営企業等を含む)から、平成27年までに164人へ削減でした。目標達成に届かなかったとはいえ、平成22年以降の激しい人口増加でも、職員数が増えなかったのは評価できるでしょう。
人口が大幅増加、職員数が微減となった結果、相対的に人口あたりの公務員数が減りました。このまま職員数が増えなければ、人口が増える予想の新宮町は、ますます行政が効率化されるはずです。
兵庫県加古郡播磨町(はりまちょう)
全体的に福岡県が強いランキングの中、神戸市と姫路市のおよそ中間に位置する播磨町も優秀な人員数でした。面積わずか9.13㎢の播磨町ですが、2つの人工島に約60社の重化学工業が展開し、製造業が盛んな地域です。
現在でも人口あたり公務員数が少ない播磨町は、平成22年度からの10年間で、半数近い職員が退職します。そのため、中堅・若手職員の能力向上が必須の課題になっており、徐々に世代交代が進められています。
もちろん、退職しても再任用職員として雇用されることで、直ちに住民サービスの低下は考えにくいですが、業務を熟知したベテラン職員が少なくなるのですから、これからが正念場でしょう。
また、播磨町は20年ほど人口が安定しているのに対して、基幹産業の製造業従事者は、8割が町外から通勤しています。それ以上に、播磨町から神戸市・加古川市・明石市へ通勤するので、昼間は労働人口の大部分が入れ替わっている自治体です。