移住者の住宅取得に最も効果的な支援は、高額になる取得費用への直接支援なのですが、自治体の財政基盤が弱いと、一度に何百万円もの支援はできないですよね。ですから、複数年に少しずつ支援する方法も用意されています。
その1つが固定資産税の支援、もう1つが借入金(住宅ローン)に対する利子の支援で、ここでは利子の支援について紹介します。
支援制度の仕組み
借入金の金利は、金融機関との契約や借入金額で変わるものですし、金融機関が変わると金利も変わるため、利子の支援は固定額になりません。そこで、前年の返済実績や借入金の年末残高などを使い、適切な金額を算定して利子相当額を交付します。
【利子支援のパターン】
- 前年の返済額一覧等を提出させ支払った利子相当額を交付
- 年末残高証明書を提出させ翌年に支払うべき利子相当額を交付
- 支援期間の利子を最初に計算して相当額を年度ごとまたは一括で交付
他にもパターンはあると思われますが、前年の返済実績を使い、現実に支払った利子相当額を後から交付する自治体が多いです。この方法では、繰り上げ返済や金利の変更によって、支払い予定の利子と現実に支払った利子が異なっても対応できます。
なお、借入金額が大きいほど利子も多額になることから、支援の対象とする借入金額に上限を設けるか、支援する利子相当額に上限を設けるのが通常です。
この支援制度を設けている主な自治体
これから紹介する5つの自治体は、いずれも5年間以上の支援期間を設けていますが、他にもたくさんあるので、好条件の自治体を探してみることです(「利子補給」を制度名に使っているケースが多い)。
また、上限10万円を10年間、上限20万円を5年間のように、支援総額は同じでも、毎年の上限額と支援期間が異なる場合は、実際に支払う利子を事前に算定して、できるだけ上限額で受け取れる制度を選ぶべきです。
岩手県紫波郡矢巾町(やはばちょう)
通常5年間の支援が、特定条件で7年間まで延長されます。年間の上限は20万円ですから、うまく上限額で受け取れば、総額140万円にもなる大型の利子支援です。フラット35での融資は対象外なので注意しましょう。
支援の主な条件 | ・200万円以上の借り入れで5年以上の返済期間 ・50㎡以上 ・町指定の金融機関で住宅ローンを利用した住宅取得(中古も可) |
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支援内容 | 利子相当額(上限20万円)を5年間、以下のいずれかに該当すると2年間延長されて最長7年間 ・子育て世帯(中学生以下、出産予定含む) ・三世代同居世帯 ・新婚世帯(結婚から5年以内) ・町内業者での建築 |
金融機関指定 | あり(フラット35は不可) |
公式HP | 矢巾町個人住宅取得資金利子補給事業について |
山梨県北杜市(ほくとし)
子育て世代を対象としており、年齢制限は付いてしまいますが緩めの設定なので、支援対象になる人は多いでしょう。最大で100万円まで利子補給を受けられる自治体は、あまり多くありません。
支援の主な条件 | ・50歳未満(夫婦の場合はいずれも50歳未満) ・中学生以下の子供と同居している、または妊娠している、もしくは補助金交付申請後に子供を産み育てる予定がある ・住宅ローンを利用した住宅取得(中古も可) |
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支援内容 | 利子相当額(最大20万円)を5年間 |
金融機関指定 | なし |
公式HP | 北杜市子育て世代マイホーム補助金 |
静岡県湖西市(こさいし)
金融機関が指定されるので、若干使いにくい点は否めません。その代わり、特定の世代を対象としておらず、給与所得者なら利用できるのはメリットです。また、勤務先は市外でも利用できます。
支援の主な条件 | ・給与所得者(代表権のある法人の役員を除く) ・280㎡以下 ・市内の金融機関で住宅ローンを利用した住宅取得(中古も可) ・10年以上の返済期間 |
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支援内容 | 利子相当額(最大10万円)を最長10年間 |
金融機関指定 | あり |
公式HP | 勤労者住宅建設資金利子補給制度 |
岐阜県大垣市(おおがきし)
新築だけの支援、さらには中心市街地に限られているため、最初からこの地域への移住を考えている人以外は、少し手を出しにくいのかもしれません。他の条件は緩く、支援総額は最大で50万円とまずまずの水準です。
支援の主な条件 | ・市が指定する中心市街地区域(JR大垣駅周辺)であること ・住宅ローンを利用した新築住宅の取得 ・100万円以上の借り入れで残高が100万円以上 ・50㎡以上 |
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支援内容 | 利子相当額(最大10万円)を5年間 |
金融機関指定 | なし |
公式HP | まちなか住宅取得支援事業利子補給金 |
新潟県南蒲原郡田上町(たがみまち)
新婚世帯と子育て世帯に限られるのがネックです。他の条件は、標準的な住宅の取得なら合致しやすいので問題とはならないでしょう。また、田上町の制度は、年末残高に対して翌年分の利子相当額を交付する先払いタイプです。
支援の主な条件 | ・新婚世帯(夫婦のいずれも50歳未満で結婚から5年以内)または子育て世帯(中学生以下) ・500万円以上の借り入れで5年間以上の返済期間 ・50㎡以上280㎡以下 ・町内と加茂市または町長が認める金融機関で住宅ローンを利用した住宅取得(中古も可) |
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支援内容 | 利子相当額(最大10万円)を5年間 |
金融機関指定 | あり |
公式HP | 新婚・子育て世帯向け個人住宅取得資金利子補給金 |