高齢者サロンで高齢者のふれあいを支援

廃用症候群という用語を知っているでしょうか？

長期的な安静状態が続くことで、心身の機能低下を招き、自立した生活が難しくなっていく状態を言います。入院で体力が落ちるのと同じような原理です。

誰でも移住先で心配になる人間関係ですが、若いうちは外に出て活動する機会が多いので、自然と他人との繋がりも増えるでしょう。しかし、出かけるのが面倒になって、家に閉じこもりがちな高齢者では、廃用症候群が心配です。

人間は、社会的孤立状態に陥ると心も身体も衰弱していきます。最初のうちは閉じこもりで済んでも、やがては身体機能の低下や意欲低下・うつ・感情鈍化などが起こり（廃用症候群）、ついには寝たきりや認知症を招きます。

高齢者サロンの存在は、地域の高齢者にとってふれあいの場となるばかりか、出かけることで健康維持にも繋がるため、多くの自治体で開催されています。

支援制度の仕組み

高齢者サロンの実施主体は自治体でも、実質的に自治体が行っているのは、高齢者サロンの運営ではなく、高齢者サロン事業に対する財政支援（補助金）です。

地域の社会福祉協議会、NPO法人、住民団体、民間企業などが自治体の委託・支援を受けて高齢者サロンを運営しています。活動内容は運営団体しだいなので、一概に何が行われているとは言えないですが、次のような活動が多いです。

【高齢者サロンの主な活動内容】

基本的に参加は無料（費用があるとしてもお茶代の負担くらい）、対象が高齢者だけに徒歩圏内の公民館や集会所で、週1回～月1回程度開催されます。

参加する年齢にならないと知らないだけで、高齢者サロンが開催されている自治体はとても多いです。その活動内容は様々ですし、活動内容で優劣を付けるのもふさわしくないでしょう。

ですから、公式HP等で確認できる範囲において、高齢者人口（65歳以上、平成28年1月1日住民基本台帳）に対するサロン数が多い自治体を選んでみました（全国ランキングではありません）。数が多ければ、それだけ参加できる機会も増えるからです。

目安としては、高齢者1,000人あたり、高齢者サロンが2箇所あれば比較的活動が盛んな地域でしょう。また、活動内容については、公式HPや実施要綱、広報誌等で確認できる範囲です。詳細は、自治体や運営団体へ確認するようにしてください。

社会福祉協議会への委託で行われており、保健福祉センターや公民館で開催されます。ただし、開催回数は週3回から不定期までバラバラです。決して高齢者比率の高い自治体ではない（全国平均を僅かに下回る）のに、これだけのサロン数は立派でしょう。

サロン数など	85箇所、高齢者人口11,795人、7.21箇所/1,000人
活動内容	・趣味活動・軽スポーツ・調理、会食等・ビデオ観賞・世代間交流・講話・健康チェック・その他ふれあい活動
公式HP	高齢者ふれあいサロン

原則として月に1回、午前中の開催ながらも、1,000人あたりで7箇所（1自治会1箇所で計算）を超えているのは優秀です。64自治会で実施されていますが、稲美町の自治会数は65なので、町内のほぼ全域で開催されています。

サロン数など	64自治会で実施、高齢者人口8,936人、7.16箇所/1,000人
活動内容	・教養講座・スポーツ活動・陶芸、園芸など・趣味活動・日常動作訓練・遠足、社会奉仕活動など
公式HP	介護予防サービス

人口10万を超える市で、これだけ開催されていれば十分でしょう。しかも、ほとんどの高齢者サロンで週に1回開催しており、サロン数・開催頻度のいずれも高水準です。その背景には、月に4回未満の場合、助成金が減額される制度にあるようです。

週1回～月1回、町内を5つの地区に分割したそれぞれの地区で開催されます。町の公式HPには詳しく載っていませんが、社会福祉協議会のフェイスブックに、写真付きの活動内容が掲載されているので参考にしてみてください。

サロン数など	5箇所、高齢者人口1,179人、4.24箇所/1,000人
活動内容	・手工芸・脳トレーニング・簡単な体操・レクリエーション・遠足、夏祭り、クリスマス会・子ども園との交流など
公式HP	老人クラブ・ふれあいサロンのご案内池田町社会福祉協議会（フェイスブック）

県庁所在地の中核市で、人口密度が高いことを踏まえれば、この数字でも評価できるのではないでしょうか。絶対数が多いだけに、運営スタッフの確保には相当な苦労があると思われ、高齢化に向けて今後の維持が課題となるでしょう。

サロン数など	314箇所、高齢者人口116,785人、2.69箇所/1,000人
活動内容	・健康体操・脳トレーニング・民謡、カラオケ等の音楽・健康講話・レクリエーション・お楽しみ会など
公式HP	大分市地域ふれあいサロン活動紹介