日本の平均寿命が世界のトップクラスであることは良く知られており、昭和の時代に高齢者だった人と、今の高齢者を比べると、今のほうが元気なのは歴然としています。もちろん、身内が少しでも長生きして欲しいのは皆同じですよね。
それは自分にも当てはまることで、長く生きることを誰でも望みます。高齢者が多くなるほど、医療費等で自治体の財政は圧迫されますが、その問題と長生きした住民を祝う気持ちとは別問題です。
長寿を祝うのは世界でも多くの国にある慣習で、自治体が個人のためにお祝い会を開くわけにもいきませんから、代わりに長寿祝金(敬老祝金)が支給されます。ここで自治体の財政とリンクしてしまい、長寿祝金は縮小傾向なのも無理はありません。
それ以前に、長寿祝金よりも住宅や子育てなど、他の支援制度全般が移住の決め手になると思いますので、あればなお良い程度の気持ちで考えましょう。
支援制度の仕組み
長寿祝金の制度は簡単です。住民が基準日時点で一定の年齢に達していると支給要件を満たし(他にあるとすれば居住期間)、条例等で定められた一時金が支給されます。祝金なので、受け取ったお金の使途は問われません。
【長寿祝金が支給されやすい年齢】
- 70歳(古希)
- 77歳(喜寿)
- 80歳(傘寿)
- 88歳(米寿)
- 90歳(卒寿)
- 99歳(白寿)
- 100歳(百寿)
他には、一定年齢以上で毎年少額を支給し続ける自治体もあり、一時金で受け取るか継続して受け取るかの違いです。さらに、継続支給と一時金を組み合わせている自治体もあります。
また、多くの自治体では、自治体の職員や自治会長・民生委員などからの手渡し、もしくは敬老会等で長寿祝金を支給しています。いくら何でも振込では、ドライすぎると感じるのか、こうした細かい配慮をする自治体には好感が持てます。
この支援制度を設けている主な自治体
祝金なので単純に金額の多い自治体、もしくは支給される回数(年齢)が多い自治体を選びたいところです。2015年の平均寿命が約83歳(男性約80歳、女性約87歳)であることから、80歳未満でも長寿祝金がある自治体を優先して選びました。
なお、それほど遠くない将来には、高齢者比率が高まって、長寿祝金の予算が確保できない自治体も出てくると考えられます。したがって、いずれは減額されたり廃止されたりする可能性もある前提で参考にしてください。
愛知県海部郡飛島村(とびしまむら)
80歳以上が対象、なおかつ一時金は居住20年以上と条件は厳しいですが、何と言っても90歳以上で支給される一時金が破格です。これは、飛島村の財政が非常に裕福であることに関係しているとしか思えません。
支援の主な条件 | ・敬老金:敬老会開催日に住所がある ・長寿奉祝金:村に引き続き20年以上住所がある(病院または施設入所で村に住所を変更した人は除く) |
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支援内容 | 【敬老金】 ・80歳~84歳:5,000円 ・85歳以上:10,000円 【長寿奉祝金】 |
公式HP | 高齢者福祉 |
北海道古宇郡神恵内村(かもえないむら)
工業地帯を持つ豊かな飛島村とは正反対で、北海道の小さな漁村にすぎない神恵内村が、この水準の長寿祝金を用意していることに驚きます。神恵内村は、人間ドックを無料化している数少ない自治体でもあります。
支援の主な条件 | ・9月1日現在で村に居住している ・99歳、100歳の祝金は20年以上村に居住している |
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支援内容 | ・75歳~87歳:5,000円 ・88歳以上:10,000円 ・99歳:100,000円 ・100歳:200,000円 |
公式HP | 長寿祝金支給事業 |
埼玉県蕨市(わらびし)
一時金のみの制度ですが、1年以上の居住で支給対象になり、初回の支給が75歳と若い上に2万円と高く、80歳までに6万円の長寿祝金は極めて高水準です。埼玉県は、他の自治体でも長寿祝金に手厚い傾向が見られます。
支援の主な条件 | ・9月1日において1年以上居住している ・住民基本台帳に記録されている |
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支援内容 | ・75歳、77歳、80歳、85歳:20,000円 ・88歳:25,000円 ・90歳、95歳:30,000円 ・99歳以上:50,000円 |
公式HP | 敬老祝金支給事業 |
埼玉県比企郡滑川町(なめがわまち)
蕨市と同じ埼玉県でも、滑川町は継続支給と高額な一時金のセットです。ただし、一時金は100歳到達が条件なので現実的には難しいでしょう。面白いのは、100歳到達時の居住期間に応じて一時金の金額が決まる点です。
支援の主な条件 | ・敬老年金:9月15日現在で町に住所がある(転入の場合は1年以上住所があること) ・一世紀長寿祝金:1年以上の居住(住民基本台帳登録) |
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支援内容 | 【敬老年金】 ・75歳以上:5,000円 【一世紀長寿祝金】 |
公式HP | お年寄りの幸せのために |
佐賀県三養基郡みやき町(みやきちょう)
多くの自治体が77歳から支給、若くても75歳から支給されるのに対し、70歳でも支給されるのは珍しいので取り上げました。100歳まで生きられる前提なら、合計支給額が215,000円となり、これは全国的に決して低い水準ではありません。
支援の主な条件 | ・9月1日において1年以上居住している ・住民基本台帳に登録されている |
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支援内容 | ・70歳:5,000円 ・77歳:10,000円 ・88歳:20,000円 ・90歳:30,000円 ・99歳:50,000円 ・100歳100,000円 |
公式HP | 敬老事業・敬老祝い金 |