子供の医療費助成による支援

日本ではほとんどの人が、何らかの健康保険制度に加入しています。それでも一部負担金(自己負担)が積み重なると大きな負担ですし、健康で丈夫な身体になる年齢までは、医療費の無料化を望む声が大きいでしょう。

子供の存在を地域の「宝」として捉える考え方は、社会全体である程度の認知度があります。言うまでもなく、行政機関は公益のためにある立場から、子供の健康を支えなくてはなりません。そして、幼いほど病気にかかりやすいのは事実です。

いくら子供の医療費は無料化が望ましいとはいえ、社会保障費が急増していく将来の展望を踏まえれば、国の制度として無料化を期待できるものではないでしょう。しかし、都道府県や市区町村は、一定の年齢まで助成して無料化しています。

支援制度の仕組み

私たちが医療機関に支払う一部負担金は、医療費の3割(2割)です。残りの7割(8割)は、保険者(市区町村、または企業等が加入する健保組合)が医療機関に支払っています。

医療費の無料化は、市区町村が一部負担金を公費で助成することにより実現されます。実際には、保険証(または受給者証)を提示するだけで無料になるか(現物給付)、一部負担金を自己負担して、後から市区町村に請求する流れです(償還払い)。

しかしながら、市区町村だけでは国庫負担金があるとしても財政基盤が弱く、都道府県も市区町村に対して補助しています。ここで問題となるのは、都道府県と市区町村で対象年齢が異なることです。

例えば、ある市が15歳まで無料化しているとしましょう。その市が存在する県では、12歳まで補助しているとします。その結果、13歳~15歳の無料化は、市の負担で行わなくてはなりませんよね。

  • 市区町村の無料化年齢>都道府県の補助年齢:市区町村の負担大
  • 市区町村の無料化年齢=都道府県の補助年齢:市区町村の負担小

つまり、都道府県が行う補助年齢以上に無料化したい市区町村は、自らの支出によって無料化を実現しているわけで、保険料を上げないとすれば財政的に無理しているわけです。

この支援制度を設けている主な自治体

都道府県の補助がなくても無料化を実現している市区町村は、それだけで住民サービス向上への気構えがあると評価できます。したがって、無料化年齢が18歳以上の他に、都道府県の補助年齢が低いことも条件に絞り込んでいます。

ただし、平成30年度からは国民健康保険の運営主体が市区町村から都道府県に変わります。そのため、現在は無料化年齢が高くても、将来まで維持されるとは限りません。

そこで、都道府県の補助年齢も気になるところですが、15歳まで助成している条件では、次の都県になるので参考にしてください(平成27年4月1日現在)。

都道府県 通院 入院
福島県 18歳年度末まで 18歳年度末まで
群馬県 15歳年度末まで 15歳年度末まで
東京都 15歳年度末まで 15歳年度末まで
静岡県 15歳年度末まで 15歳年度末まで
兵庫県 15歳年度末まで 15歳年度末まで
鳥取県 15歳年度末まで 15歳年度末まで
山形県 9歳年度末まで 15歳年度末まで
千葉県 9歳年度末まで 15歳年度末まで

北海道空知郡南富良野町(みなみふらのちょう)

北海道空知郡南富良野町
全国で唯一、22歳まで医療費の助成をしている驚愕の自治体で、さらに所得制限がありません。北海道の補助年齢は高くないことから、町の負担は相当重いと考えられますが、一般会計から繰り入れることで赤字補てんしています。

支援の主な条件 ・22歳年度末まで
・町に住所がある世帯の子ども
・義務教育後に修学年限1年以上の学校等に進学している
・通信制学校は対象外
・婚姻者(事実婚を含む)は対象外
支援内容 ・医療費の一部負担金を全額助成
・所得制限なし
県の補助年齢 通院:就学前、入院:12歳年度末
公式HP すこやか子ども医療費

宮城県黒川郡大衡村(おおひらむら)

宮城県黒川郡大衡村
宮城県の補助は通院が3歳未満、入院が就学前までと、全国でも極めて低い水準にある中、大衡村が18歳まで無料化しているのは大変な決断です。そして、ほとんど赤字が生じていない点も選んだ理由です。

支援の主な条件 ・18歳年度末まで
・村に住所がある
支援内容 ・医療費の一部負担金を全額助成
・所得制限なし
県の補助年齢 通院:3歳未満、入院:就学前
公式HP 万葉すくすく子育てサポート

石川県白山市(はくさんし)

石川県白山市
石川県は、宮城県と同様に低い水準の補助でありながら、全ての市町が15歳まで無料化しており、18歳まで無料化している市町も半分以上あります。白山市だけの対応ではないので、他の市町も含めて検討してみてください。

支援内容 ・18歳年度末まで
・市に住所がある
支援内容 ・医療費の一部負担金を全額助成
・所得制限なし
県の補助年齢 通院:4歳未満、入院:就学前
公式HP 子育て支援医療給付金

愛知県海部郡飛島村(とびしまむら)

愛知県海部郡飛島村
愛知県には、他にも18歳まで無料化している自治体がありますが、入院等で村外に住所を変更しても助成対象になる点を評価しました。日本一豊かな財政の飛島村ですから、できれば20歳くらいまで拡充して欲しいところです。

支援の主な条件 ・18歳年度末まで
・村に住所がある
※入院等で村外に転出しても助成対象
※入院等で村内に転入しても助成対象外
支援内容 ・医療費の一部負担金を全額助成
・所得制限なし
県の補助年齢 通院:就学前、入院:15歳年度末
公式HP 医療費助成

山形県飽海郡遊佐町(ゆざまち)

山形県飽海郡遊佐町
全市町村が15歳までサポートしている山形県で、遊佐町だけが18歳までサポートしています。町外の高校で寮などに入る子供を対象に、助成対象の要件が緩和されている点は、保護者にとって助かる制度ではないでしょうか。

支援の主な条件 ・18歳年度末まで
・町に住所がある
※進学で町外に転出しても別居監護とみなされる場合は助成対象
支援内容 ・医療費の一部負担金を全額助成
・所得制限なし
県の補助年齢 通院:9歳年度末、入院:15歳年度末
公式HP 子育て支援医療制度について
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